物語

その想いの答えは、未だ見つからなかった―
文壇を賑わせた、若きふたりの作家のスキャンダル。
烏鷺の裏切りによって訣別したはずのふたりは、
なぜ烏鷺の失踪後、また繋がることになったのか。
事件解決の先にある、若き日の烏鷺と乙貝の互いへの想いが交錯する愛憎の時の物語。

人の想いには、秘められた謎がある。
雪山で遭難した小説家・烏鷺の未発表原稿が、同業者である乙貝の家で発見された。かつては誰よりも親しく、そして婚約者を烏鷺に奪われたことで訣別したはずの乙貝が、烏鷺の原稿を所有していた理由とは――。
街には赤いスカーフを巻いた焔のような女が男を誘うという。その女が抱えた想いを知るものは誰もいない。
帝都に浮遊する人の想いが紡ぐ謎に、人気挿絵師の出泉と新人編集者の南、歌舞伎役者の葛葉が迫る大正浪漫ミステリー。