ノンセクシュアル

イントロダクション

およそ5年の月日を経て、『ノンセクシュアル』を企画当初のストレートプレイの形で上演します。

「100年前のスペイン風邪が存在さえ忘れられ、昨今のインフルエンザを恐れる事がなくなったように、新型コロナを恐れる事なく生活する日々が来た際には『ノンセクシュアル』をストレートプレイで上演を・・・」と2021年3月にコメントを出し、ストレートプレイでの上演を諦める事2回を経て、やっと2025年2月の公演に至りました。

「ある事象が起きた時。目撃した人によっては笑えたり、笑えなかったり、むしろ恐怖ですらあったり。
舞台『ノンセクシュアル』は、笑い、恐怖、愛憎、それらすべての要素が同時に絡み合って展開していきます。 加害者が被害者であり、被害者が加害者でもあり、加害者がいつの間にか被害者になっている。」

2020年に公演準備を進める中、<外出自粛要請>などコロナ禍での様々な、世界中でかつて経験した事のない事態が起こりました。公演中止も検討する中、朗読劇として配信するという方法で、朗読劇『ノンセクシュアル』を観客の皆様へお届けしました。あの混乱の状況下にご協力を頂いたキャスト、スタッフに改めてお礼申し上げます。 2021年度以降もストレートプレイでの上演も断念せざるえない中、2022年には映画館のスクリーンでの特別上映(3日間限定)など行いました

舞台化としての変更のみならず、 横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホールにちなんだ横浜のライブハウス、山下公園などを盛り込み、 お客様に親近感と共に、何気ない日常に潜んでいる“狂気”との「紙一重」「表裏一体」を感じていただければ、と思います。

朗読劇に上演形式を切り替えた際のキャストの一人であった鯨井康介さんを演出に迎え、富永秀樹を演じた松村龍之介さんには、村山蒼佑を演じてもらう事になりました。他、魅力的な新キャストを迎えての2025年ストレートプレイとして上演する舞台『ノンセクシュアル』をお楽しみください。

Zu々主宰 三宅 優

お知らせ

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ストーリー

「例えばラッコって大好きな貝を食べようとお腹に乗せて叩きつけるけれど、あれって失敗しないのかなって」
バンド「ネメシス」のボーカルの藤木瑛司は、恋人の富永秀樹の家を訪れている。
「失敗したら内蔵破裂しそうだと思わないか?」
「命にかかわるな」
「そう命がけ。失敗したら死んじゃうかもね。でも叩かずにはいられないのがラッコ。そして失敗するやつは広い地球にはいると思う」
「……何か重大な失敗をしたの?」
自分が何か失敗して謝ろうとしていることも察して水を向けてくれた。そう捉えた瑛司は元カノである浅井塔子と寝てしまったことを秀樹に告白した。
さざなみが引くように、秀樹は急速に手が届かない場所へと去ってしまった。

新聞記者である浅井塔子と再び関係をもったのは、ちょっとしたことだった。
野外イベント会場に塔子を見つけた。控えのテントで仕事だと言い張っていたが、その日のイベントにバンド個別取材はなかった。
打ち上げにも出ずにホテルの部屋へと戻った。塔子と寝てしまった後、秀樹のことを思い出した。黙って同時に付き合うのはさすがにルール違反だった。瑛司は今、秀樹と付き合っていることを告白する。最初にあっけにとられていた塔子は冗談かどうか何度も確かめて、最後には瑛司を罵って出て行った。

ふたりの恋人に去られた瑛司は、恋愛したい気持ちと面倒さに辟易する感情の間で揺れながら数日、作詞に没頭していた。
「遺伝的背景および環境要因の寄与に着目したカモノハシとカワウソの行動生態学上の比較」を研究テーマにする大学院生、秋野侑李はアセクシュアルで、瑛司の想いはまったく理解できない。人を性的に愛することはないが、他人周りに“興味”という形での情は深い侑李にも、同情も相手にもされない日々。
そんなある日、塔子から連絡が来た。家に入れる気になれず、山下公園で瑛司は塔子の話を聞く事になった。

そこで、喪服を着ていた村山蒼佑と出会う・・・

登場人物

村山蒼佑

ノンセクシュアル。
性的関係への嫌悪感がひどく、世間一般的な人付き合いすら難しい極端なレベル。出会いのきっかけから瑛司も自分と同様にセクシュアルな関係を嫌悪するタイプと思いこむ。瑛司のバンド「ネメシス」を知り、自分の理解者は瑛司しかいないとも思い込みが加速する。その好意を伝える努力は空回りし、逆に距離を取られる。瑛司がバイセクシュアルと知ると、己の過去の経験から、通常ではありえない行動へと推移する。

藤木瑛司

バイセクシュアル。
バンド「ネメシス」のボーカル&作詞担当。絶対音感がある。
公にセクシュアリティーをカミングアウトはしていないが、ごく当たり前にバイである自分を受け入れている。愛情にのめりこまないが、浮気も二股も不可抗力から、と本人は思う身勝手さ。自堕落さを愛している自己陶酔型のナルシストとは異なり、恋愛の不道徳を失敗として位置づける。歌詞に時折「愛」を否定、揶揄する描写を入れるため、私生活を想起させると周囲に非難されることも。友人は少なく、侑李とは学生時代からの長い腐れ縁。

秋野侑李

アセクシュアル。
理学部生物学科に所属。研究テーマは「遺伝的背景および環境要因の寄与に着目したカモノハシとカワウソの行動生態学上の比較」。
人を性的に愛することはないが、他人や周りに“興味”という形での情は深い。哺乳類でありながら卵を生むカモノハシはセックスを放棄した、という少年の頃の勘違いから、アセクシュアルの自分との親近感を覚え研究の道へ。生息地タスマニアでの研究観察を目的に貯金に励み、報酬目当てのバイトで食いつなぐ。瑛司から蒼佑の謎の行動を相談されるごとに、探究心から蒼佑に興味を持つ。

富永秀樹

ゲイ(ホモセクシャル)。
高崎屋デパート外商部勤務。頭の回転が早く、切り替えが早い。スマートな人間関係を心がける一方、刹那的な一夜の肉体関係より、永続的な恋人関係を築く努力を惜しまない。恋愛には溺れすぎないが、一途に尽くすタイプ。ルックスは良いが自分自身ではコンプレックスを抱え、不特定多数が訪れる店舗での販売より、じっくり顧客と付き合える外商の方が向いていると思っている。その付き合いから蒼佑の実家である村山家に出入りし、村山一族の噂話も聞いていた。

浅井塔子

ヘテロセクシュアル。
新聞社に勤務する地方欄担当の記者。いわゆるキャリアウーマン。不確定なスクープ狙いではなく、地道に地方欄の取材や執筆をして実績を積んでいる。野心は心に秘めて世間と折り合いをうまくつけ、日常、表面ははおとなしくしているが、何か事が起きた際には容赦がない一面も。塔子の仕事重視からくる生活リズムのすれ違いから、瑛司とは自然消滅的に別れた。

キャスト

新井將

新井將
- 村山蒼佑 -

星元裕月

星元裕月
- 藤木瑛司 -

加藤ひろたか

加藤ひろたか
- 藤木瑛司 -

松村龍之介

松村龍之介
- 村山蒼佑 -

立道梨緒奈

立道梨緒奈
- 浅井塔子 -

神里優希

神里優希
- 富永秀樹 -

小柳心

小柳心
- 秋野侑李 -

スケジュール

15歳未満入場不可
映画のR-15と同程度のセクシュアルな表現があるため、15歳未満の入場をお断りします。

チケット

チケット販売開始

2024年11月16日(土)10:00~

<チケット価格>

【一般】全席指定
8,700円(税込)
【学生】各回枚数限定(当日引換券 取扱いカンフェティのみ)
3,900円(税込)

※車いすでのご来場の方は、先にお問い合わせ先までご連絡をお願いします。介添人の方も入場券が必要となります。

※学生チケットは、入場時に学生証のご提示をお願いいたします。お座席は観劇当日にお知らせとなります。

※映画のR-15と同程度のセクシュアルな表現があるため、15歳未満の入場をお断りします。

<チケット販売>

コメント

鯨井康介

新井將

加藤ひろたか

星元裕月

松村龍之介

立道梨緒奈

神里優希

小柳心

スタッフ

演出:鯨井康介
上演台本:潮路奈和

スタッフを見る

舞台美術:愛知康子
照明:鈴木健司
音楽:片岡麻沙斗
音楽監修:川野直輝
音響:小川陽平
衣裳:小谷晴菜
衣裳協力:小泉美都
ヘアメイク:小林雄美

演出助手:西谷智美
舞台監督:澤井克幸(黒組)

宣伝美術:Zu々
トレーラー制作:川野直輝
宣伝ヘアメイク:野中美希
スチール撮影:NORI
web制作:岩田美幸
webデザイン:イソザキナオ

制作:松島瑞江 河田直樹 (アンデム)
稽古場制作:森紀代香 (ジラフ)
スウィング:野尻大介 佐藤絵里佳

プロデューサー:三宅 優(Zu々)

<協力>
キャストコーポレーション  劇団 柿喰う客  スターダストプロモーション 
ドルチェスター  プロダクション尾木  ホワイトドリーム  舞夢プロ 

主催

Zu々

共催

横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール

アクセス

横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール

神奈川県横浜市中区新港1-1
TEL : 045-211-1515
(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)

公式サイト

<アクセス>

JR・市営地下鉄
「桜木町駅」より汽車道経由で徒歩約15分
「関内駅」より徒歩約15分

みなとみらい線
「馬車道駅」または「日本大通り駅」より徒歩約6分
「みなとみらい駅」より徒歩約12分

※所要時間は目安です。